風櫃洞(フォングゥェイドン)は、澎湖本島の東南、風櫃半島の南端に位置し、風櫃聽濤と薬膳卵が有名な定番観光スポットです。澎湖特有の玄武岩の景観が広がっています。
南岸には発達した玄武岩柱状節理(六角形の割れ目)があり、長年にわたる波の浸食によって細長い海蝕溝ができています。
海蝕溝の底には海蝕洞窟があり、割れ目の隙間に沿って小さな穴が地面に通じています。
満潮になると高波が海蝕溝に沿って吹き込み、洞窟内の空気が海水に押し出され、特別な音が聴こえてくることから風櫃聽濤(フォングゥェイティンタオ)と呼ばれています。
夏季の波が穏やかな日は、波のうなり声というより"ポコン"という可愛らしい音が聴こえてきます。
また滅多に見ることはできませんが、風が強く大波の日には、噴水のように玄武岩の隙間から海水が噴き出すこともあります。
音や景色だけでなく食べ物でも名物があります。台湾のコンビニではおなじみのゆで卵、茶葉卵によく似た藥膳蛋(薬膳卵)です。
風櫃洞近くのお店の薬膳卵はクセがないので、日本人でも食べやすい風味で美味しいと思います
「風櫃洞」の場所|アクセス
風櫃は、澎湖の南に位置する山水ビーチよりさらに西です。馬公市の中心部からは、バイクなら約20分くらいの距離です。
途中の道路が山水方面と風櫃方面で別れています。そこさえ間違えなければ、ほぼ一本道のため迷うことはありません。途中の道の景観も素晴らしく、夏を感じることができます。
風櫃うずまき貝殻の展望台
風櫃聽濤のすぐ近くには、貝殻のような形をした2階建ての小さな展望台があります。
正直、高さがあまりないので、そこまで圧巻されるほどの景観ではないですが、風櫃の海全体の景色を眺めたり、雄大な玄武岩の地形を観察することができます。
風が強い日、運がよければ特別な大波に遭遇したときに、噴水を見られることもある…かもしれません。
冬季の間に塗装工事が行われて、白色とスカイブルーの手すりが映える外観になりました。
風櫃聽濤(フォングゥェイティンタオ)の神秘的なブルー
私は一度も耳にしませんでしたが、昔は「澎湖へ遊びに来たらこの波の音を聞かなければ澎湖へ来たとは言えない」とまで言われていたそうです。
しかし風も波も穏やかだと、この音は聞こえてきません。もしかしたら、私もこの正式な音を聴いたことがないかもしれないなぁと思います。
音や噴水にはさほど興味がなく、洞窟の周囲の海水の色が澎湖で一番好きでした。
神秘的で引きこまれそうなくらい透明度が高く美しいブルーなんです。泳げない場所なのが残念なほど。
「なぜここだけ?」と思うくらい透き通ったブルーが美しく、いつまででも眺めていられます。岩場の下までそろりと下りて近くで見ると心が落ち着きます。
風櫃洞の噴水
風が強く大波の日には、噴水のように玄武岩の隙間から海水が噴き出すこともあります。夏季の穏やかな日には見ることは難しく、なかなかレアな光景です。
風櫃で食べる①|澎湖の薬膳卵
景色を満喫したら、藥膳蛋(薬膳卵)のお店で風櫃名物を食べます。台湾の田舎の商店という雰囲気がなんともいえず癒されます。
台湾のコンビニでは、電鍋にこんもりと入った台湾風の煮卵「茶葉蛋」が販売されており、台湾独特の匂いが充満しています。こちらの薬膳卵も茶葉卵によく似た風味の煮卵です。
できたて熱々を殻をむいてそのままいただきます!卵の殻にはヒビが入っているので、けっこうスルリと剥けます。
薬膳卵を買ったら、お店のおばちゃんと話が弾んで滷豆乾をサービスしてくれました。
滷豆乾は豆腐を押し固めたものを醤油・五香粉・八角・砂糖などで味付けしたもので台湾の味がします。苦手な人もいるかも。
ただ、煮卵はふわっと香りがするくらいでクセがほとんどなく美味しい!
数個買ってテイクアウトすることも。
今はもらえませんが、台湾のドリンクスタンド袋がこういうときにすごく役立っていたので残しておいていつも再利用していました。
薬膳卵については、澎湖中央老街の乾益堂藥膳蛋が美味しいと人気です。
むしろ知名度はそちらのほうが高いですが、個人的な好みでは風櫃のほうが好きな味ですね。やっぱりどうしてもクセが少ないほうを選んでしまうのでしょうか…。
風櫃で食べる②|澎湖色なアイスクリーム
こちらは夏に嬉しいアイスクリーム。地元では有名なお店の人気カップアイスです。あまり期待していなかったけれど、意外になかなか美味しいなと感じました。
仙人掌冰
仙人掌(サボテン)の果実味。澎湖はいたるところに外から持ち込まれ野生化したサボテンが生えています。その中で食用に適したサボテンの果実をアイスクリームにしたもの。
哈密瓜冰
哈密瓜(メロン)味。澎湖はメロンも特産品です。色からも分かるように日本のいわゆるメロン味とは風味が違います。もっとさっぱりとした甘さ。
目の前は海。心地よい風を感じながら日陰で食べるアイスは格別の味です。
風櫃港
のどかな漁村の空気が流れています。にわか雨のあとの夕焼けは美しく、虹がかかった景色を見ることができました。
風櫃洞まとめ
風櫃は風櫃の少年(風櫃來的人)という1983年に制作された台湾の映画の舞台としても知られています。
80年代の中頃。田舎の村、風櫃に暮らす不良少年、阿清は、喧嘩が元で高雄へと旅立ち、その都会の片隅で暮らし始める。若いことの無残さ、恋へのあこがれ。侯孝賢の自伝とも言われる、青春映画の名作。
日本語字幕付きでAmazonでDVDが販売されているくらい名作なようです。風櫃(フォングゥェイ)は、日本語だとフンクイと読むんですね。
私が生まれる前の映画で、澎湖も今より一昔前という感じです。建物が特に。
今の澎湖は、日本向けの宣伝ではリゾート地扱いされていますが、少しバイクを走らせれば漁村という雰囲気は映画とあまり変わりません。
おじいさんが外を眺めて椅子に座っている様子や、外で調理して食卓を丸く囲むところとか細かい空気感は同じだなぁと興味深く観ました。
澎湖の写真は一部を強調して切り取ると、リゾート地ぽく撮れるのですけれども、実際はやっぱり「漁村」なところがほとんどです。しかしそれが風櫃では良い味だと思います。