菊野大明神は法雲寺という浄土宗の寺院の敷地内にお祀りされています。
ひとつ前の記事で安井金比羅宮について書きましたが、こちらはまた全然違った雰囲気の縁切りスポットです。
観光気分で行くところではないので、人の姿はほとんどありません。しかし、本気なら願いを聞いてくれる(きくの)明神様だといいます。
縁切りの護摩木だけ、ほかの祈願のものより残り少なくなっていました。
また、お堂内の護摩木を入れる箱がなんとか滑りこませることができたくらい、いっぱいだったので、実際には多くの方がひそやかに悪縁切りのため参拝に訪れているのを感じました。
京都出身の方から聞いた話ですが、京都にある有名な悪縁切りの神社・寺院の中でも、裁判をするよりも菊野さんにお願いしたほうが早いと地元ではいわれているほど御利益があるそうです。
そして「幸せな人は行かないほうがいい」とも聞きました…。
昔からの風習で婚礼時には側を通ってはいけないとされるので、結婚が決まっている人は避けたほうが良いかもしれません。
アクセス|京都駅から菊野大明神(法雲寺)への行き方
京都市バス
京都駅前バスターミナルから→ A2乗り場|4・17・205系統
「京都市役所前」バス停下車 徒歩約1分
バス運賃は均一運賃区間内のため230円です。バスに3回以上乗車するなら600円の一日乗車券を購入するのが断然お得です。
京都駅前バスターミナルに自動販売機が設置してあります。
京都市営地下鉄
京都駅→京都市役所前、地下鉄運賃は260円です。
地下鉄烏丸線「京都」駅→ 3駅目「烏丸御池」駅で下車し乗換え
地下鉄東西線「烏丸御池」駅→「京都市役所前」駅下車 徒歩約5分
乗車時間で考えると、地下鉄のほうが13分と早くてスムーズなのでおすすめです。バスの場合は、一日乗車券を使用すると交通費が抑えられるという点でメリットがありますね。
今回は、行きはバス、帰りは地下鉄を利用しました。
浄土宗 清水山洗心院 法雲寺
菊野大明神・豊川大明神
住所:京都府京都市中京区河原町通二条上る清水町364-1
菊野大明神の御神体・ご利益
御神体は深草少将腰掛石という霊石です。
平安時代、絶世の美女とうたわれた歌人、小野小町にまつわる百夜通い(ももよがよい)という伝説がその背景に存在します。
小野小町の美貌に恋をし、熱心に求愛し続ける深草少将という若者がいました。小町は「私のもとへ百夜通ったなら、あなたの意のままになりましょう」と告げます。
「私のことが好きならそれだけの誠意を見せて!」ということですね。
現代でも名をはせる小野小町のことですから、言い寄られるなんてことは日常茶飯事だった…のかもしれません。
この百夜通いは、現実的には不可能ともいえるくらい過酷なもので、小町も「そのうち諦めるでしょう」と考えていましたが、深草少将はその約束を果たすため毎日きちんと通い続けます。
屋敷へ着いても小町に会うことはできません。かわりに榧(カヤ)の実(または芍薬との説あり)を置いてその証拠としました。
百夜通いの途中、深草少将が腰かけて休憩をしたとされる石が御神体です。
しかし100日目の夜、深草少将は力尽きて亡くなってしまったので、無念の思いが石に宿り悪縁を絶ち切るといわれています。よりにもよって最後の日とは悲しすぎますね…。
ただ、私はこれは小野小町を主人公にしたひとつの物語だと思っており、もっと霊石なる秘密が隠されているような気がします。
~5大悪縁切り~
男女関係
友人関係
仕事関係(上司・部下)
いじめ・ストーカー など
病気悪縁を切る事で、良縁をいただいてください。
公式サイト:菊野大明神・豊川大明神|浄土宗清水山洗心院法雲寺
法雲寺|説明書き
参道へ入る入り口の看板の横に、法雲寺についての説明書きの立て札がありました。
清水山洗心院と号し、浄土宗に属している。
この地は、関白太政大臣藤原兼家が、その邸宅二條第を正暦元年(990)、寺に改めて創立した法興院の旧地である。
その後しばしば火災にあって平安末期以来伽藍は廃絶していたが、旧第の池水のあとと思われる清泉のみが残っていた。
永禄10年(1567)源蓮社清善上人がこの泉のほとりに草庵をむすび、元和元年(1615)に清久上人がこのあとに堂宇を建立したのが当寺のおこりと伝えている。
本堂は文化15年(1818)に再建されたもので、本尊阿弥陀如来像を安置している。
庫裏の東に「菊野大明神」が祀られている。良縁は結び悪縁は切るという縁切り祈願の神として民間信仰の特異な存在である。
法雲寺|敷地内
参道を通り、小さな門をくぐります。
こちらが本堂です。本尊の阿弥陀如来像がおまつりされています。
参拝受付|ロウソク・線香、護摩木はこちらで
- 香灯代 (線香・ローソクセット):100円
- 護摩木 (5種類あり):400円
- 護符:500円
- 御守護:700円
- 御朱印:300円
- おみくじ:無料
- かわらけ (縁結び・縁切り):各500円
- 参拝セット (線香&ローソク2本ずつ・護摩木・かわらけ):1000円
- のぼり奉納 (菊野大明神・豊川大明神 1対):8000円
お参りの際は、線香・ローソクセットをお供えとしてお求めになってください。
受付は半分セルフのような感じなので誰もいらっしゃいませんでしたが、呼び鈴を鳴らすとすぐに奥から感じの良い女性が出てこられ、対応して下さいました。
気になったかわらけ割りについて訊ねると、素焼きのお皿状のかわらけに願い事を書き込み、割ることで縁切りの願かけをするものだということが分かりました。
護摩木の書き方(縁切り用)は「たとえば、嫌いな人の名前を書いていただいたり自由です」とのこと。縁結びなどほかの護摩木もありましたが、こちらへ参拝する方のほとんどが縁切り目的ですね。
護摩木を入れるためのお賽銭箱のような箱があるので、なにを書いても誰の目にも触れないようになっています。
無料のおみくじは菊野大明神のお堂内にありました。出た番号を壁に貼られた解説が書かれている紙で確認します。
受付の右側の参道を進みます。
参拝①|手水舎・ロウソクと線香
まっすぐ進むと、左側に菊野大明神、右側には豊川大明神のお堂があります。
まず、手水舎で手を清めます。ロウソクをお供えする場所の引き出し内にマッチが入っているのでロウソクに火をつけ、お線香をつけました。
参拝②|お堂内へ・護摩木
お線香を指定の場所へお供えします。
お堂の中は、昼間でもとても薄暗く、ひとりで訪れると少し怖いと感じるかもしれません。祠の周囲から言葉では言い表せない神気を感じました。
お堂内での写真撮影は禁止のため、写真はありません。
(もし禁止されていなくても、カメラを向けようとは思えませんでした)
御神体は非公開なので、見えないようにお祀りされています。
御神体の前には、ゴザがふたつあり2拝2拍手1拝でお参り後、祠のまわりを時計回りで進みます。
護摩木はお堂内に油性ペンが置いてあるので、そちらのスペースで書きます。納める箱は、ほぼ満杯の状態でした。
お守り|シンプルで身につけやすい
お守りは、縁切り・縁結び・菊野様・豊川様の4種類でした。お堂内の壁に見本が飾られており、希望者は受付で求めます。こちらは、菊野様。裏面に文字の刺繍はなくシンプルです。
最近、こういった通常のお守りを、カバンの見えるところに付けている女性を目にすることが増えた気がします。自然な感じでいいなと思ったので、私も一番使うバッグに付けています。
さすがに「縁切り」を堂々と付けるのはちょっと抵抗があるので、さり気なく携帯できるのが嬉しい。
縁切りについて思うこと
菊野大明神へお参りする人のほとんどが女性だそうです。男女の縁切りにご利益があるといわれており、強い願いを持って訪れる方も少なくありません。
願掛けとして髪の毛を供える習わしがあり、1988年に改装されるまでは、祠に髪の毛が巻き付けてあったり、五寸釘が打ち込まれ念のこもった藁人形が置かれたりしていたそうです…。特異な民間信仰と立看板にも記載がありましたね。
それだけを想像するとおどろおどろしく不気味さを感じますが、はたして本当にそれだけなのだろうかとも考えてしまいます。
時代を遡ると、女性の地位は今とは比較にならないくらい低く、軽く見られていたことがうかがえます。現実には仕返しもできない無念の思いを抱え、唯一の心の拠り所が神様にすがることだったのではないか、と思えてきます。
現代も「因果応報があるからやり返すな」とか「忘れろ」と綺麗ごとを言われても簡単には無理でしょう。言えるのは他人事だからです。私なら忘れませんし、必ずやり返すべきその時が訪れるのをひっそりと待ちます。
長い人生、生きていたら人間関係、災厄、病気などさまざまな悪縁に悩まされることはふつうです。もし憎らしい相手がいて神様に縋ったとしても、その行為は誰も傷つけないし少しは救われるはず。罪悪感なんて要らない、そう思います。
こんなことを書きつつも、私自身は男女関係の泥沼とは無縁です。しかし、人間関係では人並に色々ありますよ~!
さいごに
菊野大明神は、まだ全く観光地化していないので、心の底から縁を切りたい相手がいる場合、集中して願うことができます。結果、もやもやしていたものがすっと軽くなり、忘れることができるようになると良いですね。
夫婦タヌキが可愛いです
余談ですが、このあと数日間、外から家に帰ると、なんとなく懐かしいお線香の匂いを感じたり、原因不明の金属音が天井の近くからしていたのが不思議です。
昔からムダに鼻も耳もきくので、お線香は外から、音はエアコンかなぁと思うことにしたけれど、深夜ふとなにかがいる気配がし目が覚めた直後、夫がうなされて叫んだので、やっぱり不思議でした。気のせい、気のせい。